オンライン上のリスクが高まる中、サイバー保険はどれほど認知されているか

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テクノロジーの急速な発展に伴い、サイバー攻撃のリスクも高まっています。インターネット詐欺や侵害などはより巧妙になり、企業や個人はサイバー攻撃の脅威を抑えたり、リスクから身を守るための措置を積極的に講じる必要があります。Safer Internet Day(セーファ―インターネットデー)の日に合わせて、この問題に対する消費者の見解を紹介しつつ、保険会社の役割についてもお話します。

  • 76.8% がオンラインデータ、アイデンティティ、資産の保護に関心

インターネットを通じた接続性、情報へのアクセス、オンラインサービスの充実は、同時に大きなメリットと大きなリスクをもたらしています。しかし、リスクの拡大の方がより大きいようです。

サイバーセキュリティを専門とする、ソニックウォールの「サイバー脅威レポート」では、2021年、ランサムウェア攻撃は105%に増え、サイバー脅威の研究者からは世界で6億2,330万件を超える攻撃が報告されました。[1] 暗号化された脅威は167%に増加し、1,010万件の攻撃が記録されています。Cybersecurity Venturesでは、今後5年間に世界のサイバー犯罪コストは年間15%増加し、2015年の3兆ドルから2025年までに年間10.5兆ドルに達すると予測しています。[2] オンラインでの犯罪活動コストは、全く取るに足らないものではありません。

商業サイバープロテクション

通常、サイバー保険は企業と事業家向けの商品です。1990年代後半から、ドットコムビジネスの発達と同時に加入可能になりました。以来、インターネットの開発と拡張に伴ってサイバーリスクの理解と予測が困難になり、脅威の環境を絶えず変えるという性質を見せています。最も心配なのは、サイバー脅威が拡大を続けることが確実なことです。

このペースに追いつくため、サイバープロテクションは大きな進化を遂げ、現在、保険はリスク管理と制限ツールのスイートとともに、損失を可能な限り軽減するための、第一当事者および第三当事者の賠償責任保険を提供しています。今では、これと同様の商品が商業体だけでなく、消費者を保護するためにも開発されています。

  • 105%増 のランサムウェア攻撃(2021年)

個人保護

技術の発達によって、私たちのインターネットの使用方法は変わってきました。パンデミックによる外出自粛によって、インターネットへの依存度は大きく加速しました。多くの人が自宅にいながら仕事をし、授業を受け、買い物をするようになりました。家計管理から医師への相談、テレビの視聴、遠く離れた家族とのビデオ通話まで、オンラインでいる時間がオフラインより多くなりました。ウェブの閲覧時には多量のデータを生成し、クレジットカードでの取引を行い、ソーシャルメディアで個人的な生活の細部を共有します。コンテンツ制作とソーシャルメディアインフルエンサーとしての収入を得るためにインターネットに依存する人がいる一方で、暗号通貨やNFTなどのデジタル資産の取引を行う人もいます。残念ながら、この利用の拡大により消費者が詐欺やハッカーにあう可能性はさらに高くなり、個人情報や身元情報が盗難、侵害、恐喝される可能性が増大しました。

消費者の個人保護への関心を計る質問では、「私のデジタルアイデンティティ、デジタル資産、個人情報の保護は、デジタルサービスに対する信頼を築く上で非常に重要である」という記述には40%が強く同意、36.8%が同意しました。同意しない、または全く同意しないと回答したのはわずか3.5%でした(図表42)。

ReMarkの調査では、この記述に同意、または強く同意すると回答した76.8%の回答者のうち、55.2%がサイバーセキュリティ保険への加入を検討すると回答しています。これは、Accenture [3] による調査で76%の消費者がサイバーセキュリティの脅威への対応を保険会社に依頼したいと答え、53%が保険料が最新のウイルス対策の使用と組み合わされた自宅用のサイバーセキュリティに興味があると回答していることに一致します(図表43)。さらに、このような調査結果は、ある種の個人向けのサイバー保険への強い関心を示しています。

保険会社にとって、個人向けサイバー保険の売り込みは容易ではなく、特に消費者のサイバーセキュリティへの対策、またはそのリスクの認識は制御しにくいため、価格設定が困難です。そのため、家庭用保険への上乗せや富裕層向け商品の一部として販売されることが多いです。

需要とリスクの増大を考慮すると、保険会社がサイバー保険の消費者市場への参入方法を検討することを推奨します。保険会社は個人向けのサイバー保険の認知度を高め、オンライン活動での脅威と保護のメリットを消費者に啓蒙する必要があります。既存の保険は火災保険への特約として販売されることが一般的ですが、新しい商品開発の可能性があります。

つながりの構築

技術が発達し、コネクテッドカーやコネクテッドホームが一般的になり、エネルギー効率の向上から、好きなテレビ番組を見逃さないことや牛乳を切らさないことまで、さまざまなメリットが提供されています。

モルドールインテリジェンスによる調査 [4] では、IoT(Internet of Things=いろいろなモノ(Things)がインターネット(Internet)につながる)市場は2022~2027年に年間10.5%のペースで成長することが予測されています。図表44に示すように、半数以上の回答者が「IoTは私の日常生活の一部になっている」と考えています。

年齢によってこれは異なり、Z世代の回答者の71.6%がこの記述に強く同意すると回答しています。この割合は世代とともに徐々に低下し、ベビーブーム世代では35.8%、サイレント世代では26.5%になります。

図表45は、IoTが最も大きく影響したマーケット別の回答を示しています。「強く同意する」の世界平均22.3%と比較して、この記述に最も強く同意したのはインド(48.4%)と台湾(36.6%)の2つのマーケットの回答者でした。この記述に対する同意の割合が最も低かったのは日本の3.3%で、次いで韓国(12.5%)、オーストラリア(14.4%)となっています。

これに遅れることなく、変化し続けるニーズに対応し、収益性のある成長ルートを見つけるため、保険会社は定期的に商品を更新する必要があります。たとえば、コネクテッドスマート製品にサイバー保険を組み合わせる、インターネットパッケージの一部として提供するなど、このマーケットへの参入を探る保険会社にとっての選択肢となる可能性があります。

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References

  1. SonicWall, 2022. サイバー脅威レポート [オンライン] SonicWall. リンク先:<;.
  2. Morgan, S., 2022。2021~2025年のサイバーセキュリティトップ6予測と統計 [オンライン] サイバーセキュリティマガジン。リンク先:<; [アクセス日2022年6月27日]
  3. Accenture, 2022. 新型コロナウイルス感染症により3つの方法で変わった保険[オンライン] リンク先: <; [アクセス日2022年6月6日].
  4. モルドールインテリジェンス、2022. 成長、傾向、新型コロナウイルス感染症の影響、予測(2022~2027)。モノのインターネット(IoT)市場 [オンライン] リンク先: <;.