座りっぱなしの生活:技術の発展は解決策、それとも原因になりうるか

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ポストコロナの状況で罹患率や死亡率のリスクをいかに抑えることができるでしょうか。心臓専門医でありながら、スポーツドクターでもあるフランソワ・キャレ教授が、在宅勤務により、これまで以上に座りっぱなしの生活になっている状況で、健康アプリが役に立つかもしれないと説明します。

48,440人の成人患者を対象とした研究で、体を動かさないことは、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクと関連することが明らかになりました [1] 。残念ながら、2022年、人々は、かつてないほど座りっぱなしの生活をしています。座りっぱなしの生活とは、座っているか、横になって起きている時間が1日に7時間以上ある場合、または、これらの姿勢で2時間体勢を変えず、過ごしている場合です。在宅勤務やテレビやモニター画面の前で過ごす時間の増加により、多くの人々にとって危険な状態となりつつあります。

人間はもともとよく動く生き物

呼吸と同じように、体を動かすということは人間にとって不可欠な行動です。体は動くようにプログラムされています。筋肉はストレスや炎症を抑え、免疫力や循環器系を強化するミオカインを生成します。体を動かすということは、必ずしもスポーツをするということではありません。体を動かすというシンプルな一歩を踏み出せば、その効果は得られるのです。

「呼吸を止めた場合を想像してください。一般的な人なら1分後、スポーツをする人なら3〜5分後に、気分が悪くなり始めます。しかし、体を動かさないことの影響は20年後にしか現れないでしょう」

フランソワ・カレ教授 レンヌ中央大学病院 心臓専門医兼スポーツドクター

残念ながら、座りっぱなしの生活に対する人々のリスク認知度は低い。喫煙や飲酒、不衛生、不健康な食事と違い、私たちの健康への影響は明らかではありません。座りっぱなしの生活によって、私たちは徐々に異所性脂肪(腹部周辺の脂肪)を蓄積し、がんや心血管疾患などの長期的な健康問題につながるのです。

予防は思っている以上に簡単

リスクを抑えるためにアスリートである必要はありません。一日に約30分の運動と、座りっぱなしであれば、2時間おきに立ち上がり、体を動かすことをお勧めします。短い散歩をしたり(ポッドキャストを聴きながらもおすすめ)、階段を使ったり、ストレッチをしたり、座りっぱなしの生活を防ぐ簡単な方法はたくさんあります。毎週1時間の散歩をするだけで、寿命が2年延びると言われています。

そして、個人のウェルビーイングのためだけでなく、身体活動は以下のようなメリットがあります。

  1. 慢性疾患の発症リスクを20%~30%減少させる
  2. 慢性疾患の合併症の発生率、死亡率を減少させる
  3. 平均寿命を2年~5年延ばす

テクノロジーを活用

モチベーションを保つことは難しいですが、ReMarkとヘルス&ウェルネスアプリを提供するHUMANOOとの提携により、テクノロジーがモチベーション向上に、どのように役立つのかが、わかりました。アプリの一般ユーザーのデータを見ると、身体活動が45%増加しました。SCORのBAMアルゴリズムを統合したアプリは、睡眠時間と消費カロリーを含む5つのデータを生物学的年齢(Bio Age)というわかりやすい健康指標で確認することができます。

SCOR x Humanoo x ReMarkの業務提携について詳しくはこちら

スマートフォンがない生活は今や考えられないですが、その中でも、ヘルス&ウェルネスアプリは、ゲーミフィケーション、特典、チャレンジそしてソーシャル機能などを通じて、ユーザーのモチベーションを上げ、健康的な習慣を身につけるのに重要なツールとなりました。ウェアラブル端末やアプリ、そしてフィットネス機器などのテクノロジーは未来の健康リスクの予防に不可欠な要素です。また体の健康だけでなく、食事、睡眠、そしてメンタルヘルスにまで役立つ可能性があります。

Pr. François Carré, a cardiologist at the University of Rennes, spoke at a webinar organised by HUMANOO, ReMark and SCOR on March 10, 2022 with Benoit Fagnou, Director of Humanoo, and Jeremy Speed, ReMark’s Head of France & UK

[1] Sallis R, Young DR, Tartof SY, et al. Physical inactivity is associated with a higher risk for severe COVID-19 outcomes: a study in 48 440 adult patients. British Journal of Sports Medicine 2021;55:1099-1105.