米国の生命保険市場における3つの大きなトレンド

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    Hiroe Noonan Manager, Market Research and Analytics, SCOR Global Life US

この記事では、SCORのHiroe Noonanが、米国の生命保険市場における主なトレンドと、2022年に取り組むべきことについて考察します。

毎年、何百万人もの人々が新年の抱負を立てます。新年の初めは、従来多くの人にとって気持ちよく一年をスタートするタイミングとして、新しい目標を見つけたり、これまでの悪習慣を断ち切る計画を立てたりする機会となりますが、パンデミックに伴うストレスや疲労は、人生や人間関係、そしておそらくは抱負に対する考え方にも影響を与えています。

SCORグループのReMarkによる最新の世界消費者調査(GCS)では、パンデミックの影響で変化した米国の消費者の動向を分析し、その知見をレポートとして提供しています。レポートを保険業界の皆さまのマーケティングおよび商品戦略にぜひご活用ください。以下では、調査で明らかになった主なトレンドをご紹介します。

保険に関する米国人の学習意欲

今年の新年の抱負リストに「生命保険」という言葉が入っているかもしれません。米国人の生命保険への関心は、主に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、ここ数年で大きく高まっています。調査対象の米国の回答者の61%が、生命保険・医療保険についてさらに学ぶ必要があると答えています。この傾向はミレニアル世代で顕著です。

3人に1人が、COVID-19によりリスクや保険の価値に対する考えが変わったと答えています。これは、COVID-19で亡くなった人を知っている人々の間でより顕著です(70%)。またReMarkの保険リテラシースコアを比較した順位では、米国は調査対象の22のマーケットの間で11位でした。米国人は、生命保険について詳しく学ぶことを望んでいますが、保険の理解度を示す保険リテラシーはカナダ、スウェーデン、英国、シンガポールなどその他の先進国に遅れを取っています。米国の消費者の生命保険のリテラシーを向上させることは、米国の生命保険業界にとってチャンスであるだけでなく、責任でもあります。

多くの人が生命保険に新たに加入、あるいは保障範囲を拡大しています。この傾向はさらに続くのでしょうか?

GCSのレポートによると、64%の回答者が2021年に生命保険の保障範囲を拡大したと回答しています。

約半数の人が最近、新商品、特に終身保険に加入したと答えています。加入のきっかけについては、19%が「家族や友人からの勧め」、14%が「COVID-19関連の出来事」と回答しています。

2022年もこの傾向が続くかどうかは不透明ですが、新型コロナウイルス感染症の流行が続けば、万が一に備えて適切な保障を求める人々も増加する可能性があります。各保険会社にとってこの傾向はチャンスであり、顧客のニーズに応える責任があります。

健康意識の高まり

レポートによると、調査回答者の10人中7人が、パンデミックをきっかけに健康についてより積極的に考えるようになったと回答しています。健康面で改善したいことについては、「睡眠の質の向上」が急上昇し、「運動量を増やす」に次いで2位となりました。

歩数、カロリー、睡眠パターンなどの健康データを管理するウェアラブルデバイスは人気が高まっています。健康改善のためにウェアラブルデバイスを所有することに関心があると回答した回答者は、2年間で27%から32%に上昇しました。保険契約者が健康であれば、罹患や死亡リスクが低下するため、これは生命保険会社にとっても朗報です。

一部の保険会社はすでに、商品開発やアンダーライティングから契約管理まで、保険のカスタマージャーニーのバリューチェーンにヘルステックを積極的に組み込んでいます。スタートアップ企業や既存のプレイヤーなど、ますます多くのエコシステムのプレイヤーがこの分野に参加し、このトレンドは今後も続くと予想されます。

まとめ

保険会社にとっての新年の抱負:消費者に学びの機会を提供し、背中を押す

米国の消費者の生命保険に対する関心は向上しており、売上は増加していますが、同時に生命保険会社は、保障ギャップの解決を含む、様々な機会と課題を抱えています。

各保険会社は、消費者の生命保険リテラシーを向上させるために、消費者を後押しできる行動に取り組む必要があります。先見の明があり、消費者に焦点を当てた革新的なアプローチを取る企業は、競争力を高め、今後何年にもわたり業界をリードする地位を獲得できるでしょう。