InsurTech Startup Meetupにゲストで登壇

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保険毎日新聞2023年5月12日号にて、本イベントの登壇について掲載いただきました。

FINOLAB InsurTech ワーキンググループの主催で、4月12日に開催されたInsurTech Startup Meetupに弊社ビジネスデベロップメントの坂上がゲスト登壇し、ReMarkが毎年実施している世界消費者調査から得た世界と日本のInsurTech市場の違いについての知見をお話しました。この記事では、坂上が取り上げた2022-23の世界消費者調査「保険会社にとって重要な10のインサイト‐人々に保険を選ぶ力‐」の日本データをご紹介します。

インサイト1:保険リテラシースコア

2020年から実施している保険リテラシーを測る調査ですが、今回は日本が最も高い得点となりました。世界平均が10点満点中、6.25点に対して、日本は7.26点でした。一方、保険知識に関する理解度の自己評価については、日本は最下位という結果になりました。これは国民性の違いが反映されているかもしれません。

インサイト2:保険加入のきっかけ

世界平均と日本だけのデータともに、保険に加入するきっかけは家族や友人からの推奨と回答した人が最も多く、パンフレットなどは情報源としては上位にランクインしたものの、加入のきっかけとしての影響はかなり低いようです。

加入経路に関しては、オンライン加入は世界平均で26.4%(損保29.3%、生保23.3%)を占めていますが、日本は19.3%(損保23.0%、生保15.5%)です。損保・生保いずれの保険商品においても、日本での加入経路の多くは保険会社から直接または仲介を通しての加入となっています。

インサイト3:デジタルジャーニーのカスタマイズ

加入手続きについて、日本では見積もりや保険料の支払いなどでオンラインサービスが使用されていますが、最も多かった回答は、「オンラインサービスを利用しなかった」でした。オンラインサービスの利用は世代間でも異なり、若い世代は保険会社のアプリ利用に、より積極的で、Z世代とミレニアル世代の利用者は約30%でしたが、一方のサイレント世代はわずか3.2%でした。

保険金請求に関して、世界全体ではオンラインと電話が1、2位でしたが、日本では電話が圧倒的に多く、その次に代理店が続く結果となっています。日本のデジタルによる効率化の改善の余地はまだあると考えられます。

インサイト4:データ共有

個人情報を保険会社に共有することに対して、消費者はどう考えているでしょうか。世界全体では、データ共有に前向きな姿勢が見られましたが、日本では、特に財務情報の共有に73.7%の人が、抵抗を感じており、その他、全体的にも半数近くが抵抗を感じているということが明らかになりました。

しかし注目すべきなのは、日本人が完全にデータ共有に抵抗を感じているかというと、そうではないということです。保険会社から将来の疾病リスクおよび生活習慣改善のアドバイスを受けられるなら、健康診断のデータを共有してもいいと回答した人が69.5%いました。これは非常に前向きな結果であり、消費者への価値提供がいかに重要かがこのデータによって証明されました。

インサイト5:健康的な生活の重要性

健康的な生活が自分のライフスタイルに大きな、または非常に大きな役割を果たしていると回答した日本人はわずか30%のみです。世界全体は61.4%と半数以上が健康的な生活に重要性を見出しているにもかかわらず、低い結果となりました。日本は世界的にも長寿の国と知られているため、矛盾を感じますが、恐らく普段から健康な生活習慣を考えているからではないでしょうか。

インサイト6:メンタルヘルスへの影響力

ストレスの原因について、Z世代は「経済的な問題」、そしてミレニアル世代は「仕事の問題」、ベビーブーム世代とサイレント世代は「健康問題」が最も選ばれました。頻繁または常にストレスを感じている人、そして以下の図のように、実際にうつ病や不安障害などの精神疾患の診断を受けた人は世代別で見ると若い世代に増えていることがわかります。

インサイト7:健康増進アプリでモチベーションアップ

健康増進アプリの利用目的については、「もっと健康的になりたかった」という理由が世界全体でも、日本においても最も多く選ばれました。健康アプリに求める機能について調査したところ、「やる気にさせてくれる」に続いて、2位に「楽しむ魅力的(ゲームのような)」であることがランクインし、ゲーミフィケーションの仕組みが日本では、他の地域の市場よりも重視されていることが特徴です。

インサイト8:組込型保険に対する見解

日本では、組込型保険の認知度は60.1%と比較的高いですが、加入しない人々の中で、「高すぎた」や「必要なかった」という回答が多く、消費者と商品・サービス提供者の間に温度差がかなりあることがわかりました。ついでに加入できることで、手続きの手間は省かれるものの、消費者に保険の必要性と適切な価格を提示することが組込型保険を普及させる鍵となります。

インサイト9:サイバーセキュリティの必要性

ネットの普及や時代の変化により、個人のデータ資産を守る意識も少しずつ顕在化してきました。世界全体では、個人向けのサイバー保険に加入する意向を調査したところ、半数以上が積極的でした。一方で、日本では、「わからない」と回答した人が半数以上で世界と大きな差が見られました。

IoT製品の利用についても、「IoTは私の日常生活の一部となっている」に同意するかに対して、「強く同意」する回答者の割合は、日本は調査対象地域の中で、3.3%と最も低い数字となりました。しかし、世代別で見ると、若い世代では「強く同意」または「同意」と回答している割合が多く、今後若い世代におけるIoT製品の浸透が今後のサイバー保険普及の追い風になるかもしれません。

インサイト10:データ活用による行動変容

近年保険会社では、テレマティクスの仕組みを導入し、安全運転を促進しています。この技術に対するインセンティブについて聞いたところ、グローバル全体では「無料のロードサービス」「安全運転をすることでバウチャーなどの特典付与」が5割を超え、関心の高さを示していました。しかし、日本では「非常に関心がある」と回答した割合はいずれも30%以下で、世界全体と比較し、やや関心が薄い傾向が見られます。

さいごに

登壇中の資料はこちら(PDF)

世界消費者調査のデータは、こちらのBIツールでご覧いただけます。

上記PDF資料以外のデータを国別や世代別など選択して見ることが出来ます。