SMSの導入による電話業務の軽減:UXの教訓

Spain CS
  • Madrid 0019
    José Luis Hornos Head of Iberia & Italy

パンデミックの影響により、個人も、また企業も、電話通話数がかつてなく増えています。ReMarkスペインでのテレマーケティングの事例によれば、通話数の増加に対応できるよう、SMSも効果的に活用することで、さまざまな問題に対して顧客第一のアプローチが可能になります。

ReMark スペイン:テレマーケティングのプロ

ReMarkは、イベリア半島やイタリアのクライアントと取引があります。テクノロジーとマーケティングの専門的知見に加えて、スペインにおける事業の中核になっているのが、看護師と医療従事者約40名を擁するコールセンターです。ReMarkは銀行や保険会社向けに、電話によるアンダーライティング業務や、健診、保険金請求管理などのサービスを提供し、こうしたサービスは、クライアントが持つ既存の販売・請求・顧客サービスの一連の流れと組み合わされています。

具体的には、顧客が保険会社に生命保険の申し込みをし、アンダーライティング手続きの一環で、追加の情報提供や、健診が必要になった場合、保険会社はその顧客の事案をReMarkに委託します。ReMarkのテレオペレーターが顧客に電話をかけ、一連の質問をした後、システムに記録し、保険会社が審査を行えるようにします。電話での聞き取りのほか、本人確認や、予約の手配、さらには検診の管理のためにも、電話が必要になる場合があります。

コロナ禍における通話数の増加

コロナ禍において、電話の通話回数がかつてないほど増えています。少なくとも、データからはそう言えます。個人でも、仕事でも、営業活動でも、全てにおいて電話を受けることが(あるいはかけることが)増えています。

当社の通話データだけを見ても、スペインでは昨年、10月~12月の着信件数が28%増加しました。また、年明け以降の着信件数も、2020年の1月~9月と比較して、215%増加しました。同じく2021年第1四半期の件数も、前年同期比で36%増加しました。ただし、喜んでばかりはいられません。ReMarkは主に、アウトバウンド・コールセンターであり、主な業務は電話の発信であって、着信ではありません。昨年の発信数は、当初1日当たり523件であったものが、年末時点で1日当たり634件まで一時的に持ち直したものの、2021年初めには1日当たり487件まで減少しています。

この数字が物語る現実は、電話の重要性がかつてないほど高まっているにもかかわらず、コールセンターでの処理時間に時間を要していたり、遅れが生じていたりしているということです。

現状のUXプロセスを改革

スペインでは、コールセンターの管理に、専用のソフトウェアを使用しています。しかし、この完全電話依存型の手法には、以下のように、ユーザーエクスペリエンス(UX)を損なう制約もいくつかあることが知られています。

  • 顧客は、知らない人からの電話や、不意の電話に出ることをためらいがち
  • 電話に出にくいときに電話をかけてしまった場合、かけ直す必要がある
  • このシステムでは、電話回数の変動にオペレーターの手配が容易ではない

さらに、こうした制約に輪を掛けているのが、さまざまな内外からの圧力です。例えば、

  • 通話数の変動(クライアントのコマーシャル・キャンペーン期間中にピークを迎えるなど)
  • コロナ禍で多くの企業がテレマーケティングに移行(度重なる電話により、結果として顧客の嫌悪感)
  • 電話回線に関する技術的な問題(通話切れやアクセス集中など)
  • チームの混乱(リモートワークへの移行が一因)

SMSへの回帰

こうした理由からも、また顧客とビジネスの双方への影響を考えても、この1年間、対策の模索が懸命に続けられてきたのは全く当然と言えます。ここでの主な目標は、電話を使う必要性を絶対不可欠なものにまで低減し、他のソリューションを活用することで、顧客との連絡方法を多様化することでした。要するに、リソースは同じままで、処理する件数を増やそうということです。

では、具体的にどのような手法を採用したのでしょうか?それは、インタラクティブなショートメッセージサービス(SMS)です。

外部のプロバイダを利用することで、そのためのシステムを自社ITシステムに統合する必要がなくなり、記録的な速さで稼働させることができました。通常のワークフローのとおり、クライアントが顧客の事案をReMarkに委託すると、この場合は、ReMarkのシステムからその顧客宛てに、パーソナライズされたページへのリンクを記載したパーソナライズドメッセージを送信します。顧客はいくつかの質問に答えて電話の予約日を決め、それが完了すると、当社から自動で確認テキストが送信されます。このプロセスならば、当社は電話で質問する時間を省くことができます。このプロセスは、容易に自動化できます。

ワークフローの中でSMSを利用する効果:

  • 不要な顧客対応の削減
  • 顧客に積極的な行動を促すことで、信頼関係の強化
  • 問題点の軽減
  • 従来マニュアル対応だった作業の自動化

また、電話を使うのは、SMSに返信がない(あるいは予約が取れていない)顧客との連絡だけでよいことになります。

UXについて検討する意義

わずか1か月で、驚くべき結果が出ました。3月1日以降に送信したSMSは3,000件、それに対する返信は1,300件となり、レスポンス率は41%でした。これらのメッセージをつうじて提供された情報によって、予約の95%を自動で受け付けることができました。

以前であれば電話で連絡していたはずの顧客のうち、約40%に電話をせずに次のステップに進むことができました。またこうした電話をする場合の、通話の質も向上しました。着信件数は35%減少したのに対して、発信件数は1日当たり610件に増え、パンデミック以前とほぼ同じ水準に達しています。

UXは、デジタルサービスに限らず、生活のあらゆる分野において、決定的な重要性を持つようになっています。これまでに、テレマーケティングにおいて顧客第一のアプローチを採用することで、業務プロセスを簡素化し、負荷を軽減することができました。今後については、このプログラムを、品質調査や医療記録の送付など、他の分野にも展開していくという、大規模な計画があります。また、ReMarkのソフトウェアをプロバイダ側のAPIと統合することで、データ同期の高速化も進めていきます。