コロナ禍の仕事によるストレス:消費者調査から学んだこと

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    Mandy Luo Chief Actuary & Data Scientist
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    Gana Diagne Vice President of Information Solutions and Development

あなたは今ストレスを感じていますか?それを一人で抱え込む必要はありません。ここ数年、特にコロナ禍において、メンタルヘルスに対する意識・考え方は変わりました。一方で、今まで以上に多くの人が、特に仕事に関するストレスとの向き合い方に苦労しているようです。

Workplace Options(WPO)とReMarkが共著した本レポートでは、ヘルス&ウェルネスに関する2020年度の世界消費者調査(GCS)と、WPOが実際に行ったカウンセリングの内容をまとめたデータをもとに、仕事に関するストレスについて、そして前向きであり続けることがなぜ単なる精神的な領域の話ではないかということについて紹介します。

メンタルヘルスへの理解が進む

ストレスやメンタルヘルスについて耳にする機会がこれまで以上に増えたと思います。Global Burden of Disease Studyという、疾病による負荷について世界的に調査した報告書では、2017年には7億9,200万人が精神的な障害を抱えて生活していたと推定されています。これは世界の10人に1人以上の割合です(10.7%)[1]。統計では年齢、性別、人種、宗教に関係なく、ストレスに対して免疫がある人は世界中に誰一人としていないことを示しました。

新型コロナウイルス感染症は、感染した場合の身体的な苦痛だけでなく、誰もが経験しえる精神的ストレスをもたらしました。ReMarkの最新のGCSでは、メンタルヘルスに関してはまだマイナスイメージがあるように感じるとほとんどの回答者が答えましたが(図1)、コロナ禍によりメンタルヘルスについての話がしやすくなったように思えます。


企業や政府の広告でも、メンタルヘルスに対しての意識改革やそれについて周囲に話すように訴えるものが増えました。イギリスでは「Time to talk」、インドでは#EarForYou、オーストラリアでは「R U OK?」といったキャンペーンが打ち出されました。メンタルヘルス事業は長年にわたり注目されず資金不足に悩まされていましたが、近年は投資が増えてサポートの範囲も拡大し、提供されるケアの質が向上するという決定的な変化が見られました。例として、世界メンタルヘルスデー2020年のテーマは、興味深いことに「Let’s Invest 」(メンタルヘスに投資を)というキャッチフレーズになったほどです。

Time to talk campaign in the UK
The Time to talk campaign in the UK


ReMarkの2020年度のGCSによると、3人のうち1人以上が頻繁にもしくは常にストレスを感じているようです。そして回答者全体の40%が、精神的に苦しんていると報告されました。さらにこの問題は、属性によって影響の受け方が異なります。女性や若い世代はメンタルヘルスの影響を受けやすい傾向があり、さらにZ世代とミレニアル世代はサイレント世代(一般的に75歳以上の世代)の4倍の割合で不安やストレスを経験しています。

ストレスは仕事のせい?

次にストレスの要因について考えていきます。仕事、金銭、家族、健康など、どれも互いに関連しているような要因がありますが、ストレスは就業者の間で多く見られる問題のように思われます(図2)。逆説的かもしれませんが、労働力人口と非労働力人口を比較すると顕著な違いがあり、就業者の間でストレス度合いが高まっていることを示しています。

  • 29.9% 就業者雇われの29.9%がより頻繁にもしくは常にストレスを感じている

  • 18.5% の人がメンタルヘルスに何かしらの問題があると自身で判断している

  • 19.1% の人がメンタルヘルスの問題で診断を受けたと答えている

WPOは世界中の従業員に対しサービスを提供していることから、仕事関連のカウンセリング依頼の背後にあるデータを深く掘り下げることができました。そこでわかったのは、2020年にサービスを利用した従業員の約80%がストレス、気分の落ち込み、不安という理由から利用していたことです。

ストレスに立ち向かう:複雑な戦い

ストレスは個人的で複雑な問題ですが、幸いなことに助けを求める意識や意欲は高まっているようです。WPOの分析によると、新型コロナウイルス感染症が世界的に広まった2020年3月だけでもWPOのウェブサイトにログインされ数が前年比で55%増加したようです(図5)。

世界中の10人に9人近くが体と心の健康は結びついていると考えています。健康とストレスの自己認識には明確な相関関係があります。人々が精神的に落ち着くと、より健康に感じる傾向があり、逆もまた同様です(図6)。

メンタルヘルスに関してマイナスイメージがあることから(図1)、図7で示されているようにGCSのデータではストレスに苦しんでいると答えた人(42.2%)と正式に診断を受けた人(26.8%)の間に差が生じました。

Q: Have you ever suffered from a period of mental distress, stress or anxiety that prevented you from doing your usual activities?

Q: Have you been diagnosed with a mental health disorder such as depression, panic attacks, anxiety by a medical professional, even if you don’t have it currently?

これはWPOのオンラインカウンセリングのグローバルでの利用率と一致しています。サービスの利用率は2020年の3月、4月に10倍増加しましたが、実際にカウンセリングサービスを受けた人はサービスを提供された全従業員の3%未満にすぎません。一方で、国によって実態が様々であることがわかります(図8)。今後、よりデジタルな生活様式へと移行する中で、このサービスがどれほど効果的なのかを理解するためにさらなる分析が必要です。

まとめ

ReMarkの調査で特定されたように、金銭的、仕事上の問題は世界的に人々の生活におけるストレスの最大要因として挙げられています。しかしそれらに対処していくことは簡単ではありません。調査で明らかになったことは以下の通りまとめられます。

  • ほとんどの人が体と心の健康は結びついていると認識しています。ストレスに対する人々の自己認識は、健康全般に対する彼らの自己認識に直接的な影響を及ぼします
  • パンデミックにより、ストレスや不安などのメンタルヘルスに関する問題への意識が高まりました。この傾向は女性と若い世代の間でより顕著に見られました。
  • メンタルヘルスに関するマイナスイメージの影響から、専門的な助けを求めるのに「心理的な」壁が生じています。

消費者のトレンドに関するデータと専門のカウンセリングサービスからの「実際の」データを組み合わせることで、人々とメンタルヘルスの根本的な原因を理解することに役立ちます。今回の調査結果により、業界を超えたパートナーシップを築くことの重要性が明らかになりました。自治体、医療機関、企業、保険会社、慈善団体などの様々なセクターと提携することで意識を高めるだけでなく、人々の情緒的健康へのよりよい教育の機会提供に繋がります。


Workplace Options について

Workplace Optionsは従業員が抱えている仕事、家族やプライベートな問題に対して より健康に、より幸せに、そしてより生産的にバランスを持てるようサポートします。リーディングカンパニーとして従業員のサポート、ウェルビーイング向上サービスを提供し、扶養家族のケアやストレスへの対処から医療サービスやウェルネスプログラムに至るまで、様々な問題に関する情報提供、紹介、コンサルティングなどを行います。

Workplace Optionsは資格保持者や専門家の世界的ネットワークを通じて世界最大のワークライフサービスを提供する企業です。米国、カナダ、イギリス、アイルランド、ポルトガル、フランス、ベルギー、アラブ首長国連邦、シンガポール、日本、中国、インド、インドネシアにサービスセンターを持ち、200以上の国と地域の116,000の組織で働く、7,000万人を超える従業員にサービス提供しています。

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