2020年という年がスウェーデンの消費者にもたらした影響

Update6

第7回目のGCS(世界消費者調査)では新型コロナウイルス感染症の影響による保障の必要性、心身の健康やデジタル活用に対する考え方の変化について注目しました。そして今年は調査対象国にスウェーデンを新しく追加しました。

スウェーデンは非常に成熟した保険市場ですが、新しいテクノロジーに対して強い関心を持ったユニークな市場でもあります。そして何より、他の欧米諸国と比べスウェーデンは新型コロナウイルス感染症に対し、異なる対策を行っていたということも注目に値すべき点でしょう。2020年は不確実で複雑な環境であったにも関わらず、スウェーデンのマーケットについては驚くべきことが明らかになりました。契約者と関係維持をする上で新しい機会が生まれた一方で、保険会社はDXや、データシェアリング、保険そのものに関する価値をスウェーデンの消費者に伝えるために、さらに努力する必要があります。


  • 4分の1 新型コロナウイルスの影響により保険に対する考えを改めたスウェーデン人

  • 45.5% 非接触チャネルを介して保険の購入を完了したスウェーデン人の割合

2020年は特に健康やデジタル化に対する見解において、世界規模での明らかな変化が起こりました。そして消費者に対し精神的にも大きく影響を与えました。調査によると、パンデミックの影響で精神的に苦痛を感じている人が増加し、スウェーデンは他の国と比べ精神的に苦痛だと感じていると自己判断した人の割合が最も多かったのです。さらに正式に精神障害と診断された割合も高く、特に若い世代の女性にこの傾向は多く見られました。

その一方で、スウェーデンではリスクに対する考え方に関しては、パンデミックによる影響はそれほど大きくはありませんでした。リスクや保険に対する考えを改めたと回答した人は、世界平均が40.6%であったのに対し、スウェーデン人の4分の1がそのように回答し、他の成熟市場[1]と同じような結果が見られました。さらにスウェーデン人はパンデミックの影響により健康に対して積極的になる傾向が少なく、衛生管理や旅行などの生活習慣に違いが生じた人は少ないようでした。


今日の消費者は様々なチャネルを利用しリサーチ、購入を行っており、今年は特に購入までのプロセスにデジタルチャネルを設けることの重要性が明らかになりました。今年、非接触チャネル[2]を介して保険の購入を行っていたスウェーデン人の割合は45.5%と、世界平均の42.3%と比べ高いのにも関わらず、パンデミックの影響によりオンラインサービスへの意向が変わったと回答した人が4分の1と少ないのは、それだけスウェーデンの市場が以前からデジタル化が進んでいたということを示します。ただ保険金請求やカスタマーサービスなどの場面では人間味のある対応が好まれ、スウェーデン人は自動化されたサービスより対人サービスを信頼し、安心しているようです。  

調査結果では人間的な側面を組み入れ、信頼を築くことができ、かつオンラインからオフラインへのスムーズなアプローチが重要であるとわかりました。スウェーデンでは企業ブランドの認知度は依然として高く、回答者のほとんどが生命保険に関する情報に関しては家族や友達、そしてファイナンシャルアドバイザーから得る情報と比較して保険会社から得る情報を信じると回答しました。

今回の世界消費者調査(GCS)では、健康が人々にとっての優先事項であることが明らかになりました。そして調査したほとんどの健康指標において、スウェーデンは世界平均と比べ優れているようです。世界中の消費者は保険会社に対して、死亡保険を充実するよりも、ヘルス&ウェルネスに注目したサービスの提供を求めています。健康データはリスク評価に繋がるダイナミックアンダーライティングにも応用できます。スウェーデン人回答者のおおよそ半分は保険会社に電子健康記録を喜んで共有すると回答しており、世界平均の65.4%を下回る結果でした。スウェーデンが他国と比べ、ウェアラブルデバイスの保有率も低いことから、保険会社が今後アプリやウェアラブルデバイスを活用した消費者の関心を高めるソリューションを生み出すことは革新的であり絶好のチャンスとなるでしょう。

新型コロナウイルスによるこのパンデミックは長期戦でまだ見ぬ社会への影響が今後も見られるでしょう。ReMarkがこれまで得た様々な知見はGCSページで、そしてどなたでもアクセス可能なデータはダッシュボードからご確認できます。

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[1] 成熟市場とはGDPあたりの成長率が低く、保険支出が多いことを特徴とする国を指します(OECDの数値による)。この調査ではオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、アイルランド、韓国、スペイン、スウェーデン、米国、英国が成熟市場に含まれます

[2] 保険会社のウェブサイト、オンラインの検索エンジン、ソーシャルメディア、そしてメールや電話を含むダイレクトチャネル