2023年保険トレンド:米国と世界
この記事はCalifornia Broker magazineに執筆したもので2023年1月1日に投稿されたものです。
米国では、従来の代理店販売のアプローチ、ダイレクトメール、電話、オンラインのマーケティング戦略を融合させた保険市場が確立されています。2023年に何が起こるでしょうか?そして、米国の消費者の間でなぜオンラインサービスの利用が拡大しているか、またなぜデータがこれまで以上に活用されているのでしょうか?グローバルInsurTech企業のReMarkに、消費者見解を調査した世界消費者調査(GCS)2022-23について聞きました。
ReMarkは米国の保険会社が今年注目すべき消費者トレンド、3つの主要な消費者動向と、米国の保険に対する考え方が世界とどのように異なるかを説明しました。さらに消費者のメンタルヘルスの重要性が高まっていること、雇用主や保険会社がもはや見て見ぬふりをすることができない理由についても話してくれました。
GCSとは?
ReMarkの世界消費者調査(GCS)は2014年から毎年実施される保険に関する消費者の見解を世界中で調査したものです。人口知能(AI)、データプライバシー、健康、そしてテレマティクスなどのようなトレンドに関する知見を提供しています。今年度の第9回世界消費者調査は、世界中の22の主要保険市場で12,728名の消費者を対象に実施したオンライン調査への回答に基づいています。調査は、2022年4月にReMarkの調査パートナーであるDynata社によって行われました。各市場のサンプル(調査対象)および調査方法は各市場の人口統計パラメータ(年齢、性別、地域)の組み合わせに基づいており、保険の消費者または潜在的消費者を代表するよう意図されています。
保険リテラシー:米国人がどれほど保険について知識があるか
今年度のGCSでは、保険リテラシーを調査しました。保険に関する知識については、米国は世界平均よりわずかに高いスコアとなりました(10点満点中/米国6.61点、世界平均6.25点)。しかしながら、世代別で差があることが明らかになりました。米国のサイレント世代は10点満点8.52点だったのに対し、Z世代は4.99点にしかおよびませんでした。世代差があることは、今年度の結果で世界的に見られた傾向ではありますが、米国ではその差が著しいということがわかりました。
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6.61/10 保険に関する知識の米国人の平均スコア(世界平均10点満点中6.25点)
さらに注目すべきなのは、米国人は複数の段階でオンラインサービスを利用しているということです。米国の消費者は保険の見積もりや推奨のために最もオンラインサービスを利用し(34.5%)、その次に個人情報や書類のアップロード(29.8%)、そして保険料の支払い(28.8%)にオンラインサービスを利用しています。
この傾向は世界的な傾向と似ていますが、デジタル化に向けた世界的な動きと密接に関係していることを示しています。興味深いことに、米国の回答者の大半は、保険に関する知識が豊富であるにも関わらず、金融サービスに関する教育をもっと受けたいと思っています(54.2%)。
ポイント:年金や保険商品が更なる教育に適している分野だと思います。その分野は、米国の回答者が知識量が足りないと感じた分野です。米国の保険会社にとっては今後数年間にわたって、消費者に大きな影響を与える絶好の機会となるはずです。
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54.2% の米国人が保険に関する教育がさらに必要だと感じている
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34.5% の米国人が保険の見積もりや推奨のサービスを受けるためにオンラインを利用している
データ共有:米国の消費者にとって保険会社にデータを共有することの魅力は何か?
今回の米国の回答者はリスクを評価するためには、積極的にデータを保険会社と共有すると回答しました。興味深いことに、80.5%の人が雇用情報を共有することに抵抗はない、もしくは全く抵抗はないと回答しました。次に抵抗がないと回答した順に、これまでの請求履歴(79.2%)、そして健康診断データ(76.7%)でいた。これらの結果は世界平均より高い結果となりました。割引の可能性が非常に魅力的なようで、3分の1の米国の消費者は情報を保険会社と共有する代わりに、保険料の割引があることに興味を持っているようです。保険金の請求に関しては、高齢層では電話で請求する方法が人気でしたが、ミレニアル世代やZ世代の場合は、オンラインで行うのが人気でした。
ポイント:いくつかの保険会社はいまだに電話ベースの保険金請求方法ですが、次の世代に魅力を伝えるためには、デジタル化を進める必要があります。
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76.7% の米国人が健康診断データを共有することに「抵抗はない」、または「全く抵抗はない」と回答している
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4 分の3 の米国人がデータ共有の代わりに得られる保険料割引に関心を抱いている
健康アプリ:米国の健康アプリ利用の男女差
今年度のGCSのデータによると、健康アプリの利用は増加するばかりで、グローバルの回答者は半数以上が健康アプリを利用しています。米国では、そのさらに10%近く上昇しています。
興味深いことに、男性よりも女性のほうが健康アプリに対してモチベーションがあるようです。米国女性は68.9%が健康アプリを利用しており、米国男性は45.5%ということがわかりました。
私たちの調査では、米国のベビーブーム世代とX世代は、ミレニアル世代やZ世代の回答者より健康アプリを利用しているということがわかりました。しかし、この結果はコロナ禍において健康のために高齢層が健康アプリを利用するようになったということで説明できるかもしれません。
ポイント:保険会社にとって注意すべき点は、若い世代が健康アプリを利用するだろうと思い込まないということです。実際、調査の結果により米国の全世代でアプリを使う意思があると明らかになりました。
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約60% の米国人が健康アプリを利用している
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男女差 68.9%の米国女性が健康アプリを利用しているのに対し、米国男性は45.5%
メンタルヘルスと保険:徹底解説
パンデミックを経験し、メンタルヘルスに大きな影響をもたらしました。世界保健機関(WHO)の「Global Burden of Disease 2020」調査では、うつ病の症例が27.6%、不安障害の症例は25.6%増加したと推定しています。
パンデミックがメンタルヘルスに与える影響の全容はまだ解明されていませんが、ReMarkの調査によると、ストレスレベルは、2021年に43%急増したものの、今回測定開始以来最もレベルが低下しているということが明らかになりました。今年は、世界全体で34%の回答者が「ストレスを感じることが多い」「いつも感じる」と回答しています。米国ではこの数値は同程度の35.6%です。
例年見られるように、報告されたストレスのレベルは、年齢と逆相関しています(図表30)。Z世代は、サイレント世代に比べ、「よくストレスを感じる」「いつもストレスを感じる」と回答する割合が5倍も高いことがわかりました。
図表31に示すように、運動はストレスの感じ方に有益な効果をもたらします。運動をほとんどしない人は、ストレスを感じることが多い、またはいつも感じていると訴える傾向があります。
因果関係
調査対象者に、ストレスにつながる可能性のある問題について尋ねました。普段ストレスを感じていない人にとっては、これはある程度、仮説に過ぎませんが、世代間の差は興味深いものがあります。全体として、最も可能性の高い原因は、「金銭的な問題」と「健康」の2つでした。
しかし、世代間の違いで回答が大きく違うということも不思議ではありません。Z世代は、金銭的な問題がストレスの原因である可能性が高い一方、健康は最も心配のない問題です。一方、サイレント世代は自分の死をより強く意識しており、ほとんどの場合、仕事のプレッシャーにさらされることもありません(図表32)。
メンタルヘルスの影響
今年度の調査では、普段の活動に支障がある一定期間の精神状態に悩まされた割合の非常にわずかな減少が見られました。2021年は45.6%で、2022年は43.2%でした。この結果はその年の精神
今年の調査では、「精神的苦痛で普段の活動ができない時期があった」と回答した人の割合が、非常に緩やかに減少しています。2021年の45.6%から今年は43.2%に減少しました。 これは、回答者がそのようなエピソードを経験したことがあるかどうかを尋ねているため、1年間の精神的苦痛の発生率を正確に示しているわけではありません。とはいえ、比較的安定した数字が出ているのは好材料です。
同様に、うつ病、パニック障害、不安神経症などの精神疾患を医療従事者から診断されたことがある人においても、小幅な減少が見られます。今年は、全世界の回答者の27.6%が診断を受けたことがあると答えており、昨年の28.3%から減少しています。アメリカも同様の減少を示しましたが、消費者の診断率はより高く、昨年の39.6%に対し、今年は37.7%の回答者がメンタルヘルスの診断を受けたと回答しています。
世代別に見てみると、「精神疾患の専門家による診断を受けたことがある」人の割合が年齢とともに減少していることがわかります(図33)。この差は、一見してわかる以上に興味深いものです。この質問では、精神疾患の診断を受けたことがあるかどうかを尋ねていますが、比較的短い生涯の間に、Z世代では全世界で38.5%がそのような診断を受けたと答えているのに対し、サイレント世代ではわずか12.5%であることが気になります。
Read the original article on CalBroker
To download and explore the 2022-23 Global Consumer Study in full, head here.